食育
先日、2歳児のママ友から聞いた、「補助箸は上手に使えるんだけど、普通の箸を持たせるとまったく使えないんだよね...」というお悩み。「うちの子が普通の箸を使えるようになったのは4歳近くだよ〜」と脳天気に返したものの、ママ友は深刻そうな表情。周りのママ友に聞いてみると、「普通の箸をどうやって覚えさせればいいのか悩んでいる(悩んでいた)」という声が! そこで、答えを求めて、発達心理学者の大宮明子先生をたずねました。
補助箸は手指が未発達でも使える道具
大宮先生によると、「大人でも4割の人は箸を正しく使えていないというデータがあるくらい、箸は難しいんですよ。箸を使い始めるのは3歳くらい、正しく使えるようになるのは6歳くらい。2歳だと手指の発達段階として、まだ難しいかもしれませんね」とのこと。
一般的な食事の道具のステップとしては...
【STEP1】スプーンを上から握る
持ち手を上からガシッとわしづかみ。最初は手と口の距離もうまく測れないので、こぼすこともしばしば。
【STEP2】 スプーンを下からつかむ
握って使うことに慣れてくると、下からつかむように。大人と同じ持ち方で食べられるようになっていく。
【STEP3】箸を使う
箸を5本の指で器用につまみ、2本の箸を動かして、箸の先端で食べ物を挟めるように。
この【1】→【2】は自然にできるようになるけれど、【3】の箸は、5本の指を別々にコントロールしなければ使えないので、とても難しいとのこと。一方、補助箸にはつまみやすくする補助器具がついているため、手指が未発達でも使える、ということなのです。
つまり、「補助箸が使えるからといって、普通の箸が使えるようにはならない」ということなのだとか!
箸の練習は、ピースサインができるようになったら
大宮先生は、「箸は手指が発達してから練習したほうが、短期間で正しい持ち方を習得できます。まずはスプーンを大人と同じ持ち方で上手に使えるようになること。そして、ピースサインができるようになってから始めるとスムーズですよ」とアドバイスくださいました。
ピースができるということは5本の指のコントロール力がついた目安になるそう。
また、シールをめくる、小さなブロックを組み立てる、小さなパーツがついたおもちゃで遊ぶなど、「つまむ遊び」をたくさんすると、手指の発達が進むそうです。
最後に大宮先生は、「箸は単に食べるための"道具"なんです。無理に練習させて、食べることが嫌いになってしまうのが一番困りますよね。幼児期は『食べるって楽しい!』という気持ちをしっかり根付かせてあげるほうが大事。箸はあまり焦らないでくださいね」と笑顔でメッセージをくださいました。
なるほど、補助箸はトレーニングのためというよりも、「大人みたいに箸で食べてみたい!」「箸で食べられたらうれしい♪」という、こどもの意欲を満たすサポートツールだと考えるといいのかも。みなさん、無理せず、焦らずに行きましょうね〜!
監修:大宮明子[おおみや あきこ]
十文字女子学園大学 人間生活学部幼児教育学科 准教授。専門は発達心理学・認知心理学で、特にこどもの思考の発達、乳幼児期の親子の関わりを研究。主な著書に『幼児期からの論理的思考の発達過程に関する研究』(風間書房)。
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